I♥BLUESPRING(お試し読み用・抜粋)



「なーなー、阿部もやるんだろ?」
「あ、阿部くんも、やる、の?」
「はぁ?何・・・」
言ってるんだよ!なんだよ、二人揃ってその期待に満ちた目は?天然過ぎる田島はともかく、いつもはおどおどしっぱなしの三橋まで、そんな熱意に溢れる目で俺を見る事は
――滅多に無い。
何をそんなに俺に期待しているんだ?背筋に薄ら寒いものを感じて、俺は無意識に後ずさった。なんかまたすげぇ嫌な予感がするんですけど・・・。

「何って、あれだろ!花井とか水谷とかとおんなじヤツ!」
「うわ!それ以上言うな!黙れ田島っ!」

とりあえず田島は黙った。田島だけは――だったけど。

「阿部くん、やるんだよね!」
「ちょ、三橋っ!」
だがもう一人、三橋の口は止まらない。

そりゃお前には、まだ黙れなんて言ってなかったけどさ、空気くらい読んでくれよ。しかもなんだよ、こんな時ばっかりすらすら喋んじゃねぇよ、と突っ込む暇さえ無かった。

「執事喫茶で、執事やるって聞いた、よ!」

楽しみだね、フヒッ。といつもの変な笑顔まで付けられては、俺はがっくりと肩を落とすしかなかった。



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「ひっ、あ、ああっ!」

随分大きくくつろげた所為で、三橋の上半身は大分弄りやすくなっている。広がった合わせに今度こそ遠慮無く手を差し込んで、ゆっくりと滑らかな肌の感触を愉しんでいると、三橋の息づかいも少しずつ荒くなっていく。

「なぁ、三橋。興奮してんの?」
「こ・・・し、してな、いっ!」

後ろから身体を寄せている所為で顔は見えないけど、必死で言い募る三橋の耳がじんと熱を持っているのが判る。焦ったように否定する声も何処か甘くて、俺はごくりと唾を飲み込んだ。

「ふうん、どうだかな」

腕の中の薄い身体は、人間というよりも、時折小動物めいた声を出しながら、まだ逃げようと藻掻いていた。往生際の悪いヤツ。俺は三橋の腰に回した手に少し力を入れて、胸元を探る方の手を更に大胆に動かした。

「んっ、やっ・・・んん」

 手のひらが、ぷくりと盛り上がった物に触れる。なだらかな胸の上でやけに主張するそれを指先で摘んで転がすと、三橋は必死で声を噛み殺した。



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