■■■眉xゴロ■■■


「まー、ゆー、むー、ら!」
「・・・・・・なんだ、茂野?」
「いや、さぁ。」


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「アイシング貸してくんない?」
俺、自分の分チームに忘れてきちまったみたいでさぁ。

悪びれずに言う吾郎に対して、眉村も大して表情を変えずに応じた。
「かまわないが」
後で部屋に取りに来いと、言い置いて立ち去ろうとする眉村を吾郎が追いかける。
「ちょっと、待てよ!」
今じゃ迷惑か?と聞かれれば、断る理由も特に無い。

「好きにしろ」

「やっりィ!」
小躍りするようについてくるライバルは、眉村に何故だか実家の近くに小型犬を思い出させた。


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「へーっ、これが眉村の部屋かよ」
俺らと大して変わんねぇな。好奇心でいっぱいの目が、部屋中を瞬きしながら見回している。眉村は、幼い子供のような、吾郎のその姿にあきれながらも、枕の下に突っ込まれた右腕を素早く押さえつけた。

「・・・・・・何をしようとしている?」
押さえつけた腕をそのままに、尋ねると乾いた笑いを浮かべた吾郎が、どもりがちに答える。

「あ、えーと、・・・・・・エロ本とか無いかと思って」

「・・・・・・」

「ち、ちょっと、冗談だって!!待てよ、待ってくれよ!!」
無言のまま襟首を掴んで、部屋からつまみ出そうとする眉村に吾郎が必死で縋り付いた。
「肩が痛いのは本当だから、アイシングだけでも貸してくれよ!」
その言葉を聞いた眉村の動きが止まる。

「・・・・・・大丈夫なのか?」

「え?」

「・・・肩は、大丈夫なのか?」

自分を掴む眉村の腕の力がゆっくりと抜けてゆくのを感じて、吾郎は頷いた。

「少し、・・・ほんの少しだけ違和感があるけどな」

襟首から離れた手が、柔らかく肩に触れる。壊れ物を扱うかのような、その手つきから目が離せない。

「肩、俺に見せてみろ」
アイシングくらいやってやる。どうせお前のやり方は、いい加減そうだからな。

(俺って、そんなにいい加減そうに思われてるのかよ・・・)

どこかの誰かも言いそうな、その台詞が少しだけおもしろくなかった。




意識し始めはこんな感じで。