□□□榎本x眉村□□□


初めて見た時から、かわいげのないヤツだと思っていた。
それは今でも変わらない。だから変わったのは(実に苛立たしい事だが)自分の方らしい。
ブルペンで投球練習を始めた後輩を眺めながら、榎本は前にいた千石の頭を、グローブで思いっきりはたいてやった。
「ぐっ!」
低い声で呻いた4番が、訳が分からないと言った顔で振り返るのを鼻先で笑ってやる。

何故ならば、これは単なる八つ当たりなのだから。



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練習後のロッカールームで、着替えの最中に後ろから頭を叩かれた。
「痛ってぇ・・・。誰だ、・・・お前、千石!!」
振り返れば、千石が実に気持ちの良い笑顔を浮かべて立っている。
「さっきのお返しだぜ、榎本〜」
油断大敵だな〜。と笑う脇腹に肘を入れてやる。声もなく前屈みになるごっつい身体に、トドメを刺さなかったのはせめてもの情けだ。
ついでとばかりに、些か派手な音をたててロッカーを閉めると、開けた視界でヤツと目があった。

「・・・・・・」

確かに絡んだ視線は、あっさりと外されて無言のうちに相手は立ち去る。

「な、な、な・・・!!」
(か、か、可愛くねぇーーーーーっ!!!)


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「仮にも先輩に対してなんだから、目が会えば頭ぐらい下げるだろ!普通は!!」
「だから、なんでそこまで眉村にこだわるんだよ!」
「お前には関係無いだろ!!千石!」
「関係ないなら、俺を巻き込むな!!!」

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気がつけば、ロッカールームに残っているのは、榎本と千石だけだった。


日記より移動。榎x眉に見せかけて、実は千x榎?(笑)。綺麗な顔だけど馬鹿っぽい榎本が好き。