不意打ちなキス★★★
軽くあわせて、ふっくらとした下唇に優しく歯を立てる。薄く開いた歯列を割って、温かくて湿った感触に口腔が浸食される。
「っ、ふっ、ん」
堪えきれず零した自分の吐息に、悔しくて奥歯を噛み締めた。
「キスすりゃ、いいってもんじゃないだろ」
しかも不意打ちなくせに、こんな優しい口づけ。喉に引っかかっていた文句の固まりが、胃袋の中に滑り落ちて綺麗に消化されてしまった。
「だから、こんなキスでごまかすなよ」
もっととねだった唇に、今度は『不意打ち』ではないキスが降りてきた。