□□□クリスマスの準備って楽しいよね。(*兄弟設定「ask〜」より)□□□



「なぁ、寿。お前今年のプレゼント何にするか決めたか?」
「あ、父さん達の分の事?」
「それから健の分もだぜ」
「兄さんには何か良い案でもあるの?」

まさか、また変な枕とか言わないよね〜?と胡乱な目つきで見やったところで、兄にはたいして効かなかったらしい。しかも『だって、あの枕おやじ喜んでたぜ!』とまで言われれば、返す言葉も無い。両親の新婚気分も、いったいいつまで続くのだろう。
微かに感じた頭痛を追い払って、とりあえず自分で作成しておいたリストを取り出した。

「お、さすが〜!寿くん、手回しいいねぇ。相変わらずv」
弟が差し出したリストを嬉々とした様子で吾郎は読み上げ始めた。

「えっと、おやじとお袋には『都内のホテル宿泊券(一泊)』かぁ、ってお前こんな高いの大丈夫なのか!?」
どうやら“クリスマスの時期の宿泊費は高い”くらいの知識は持ち合わせていたらしい吾郎が、驚いたような声を上げた。

「うん、それは大丈夫。先輩の知り合いに頼んだから、格安で手に入ったよ」
にっこりと綺麗な笑顔を見せる弟に、『それは、どんな先輩なのか』とか『どんな方法で頼んだか』等と尋ねる隙は見あたらない。
まぁ、お袋達が喜んでくれればそれでいいか。と考える事で吾郎は一つめの問題を解決した。

「で、健の分は、と」
寮生活をしていて、めったに会えなくなってしまった一番下の弟は、茂野家のマスコット的存在だ。勢い、用意するプレゼントにも気合いが入る。ずらっと並べられた候補の数々は眺めているだけでも壮観だ。

「えっと、新しいグラブ、シューズ、DS、i-pod、リラクゼーションCD・・・・・・、野球盤・・・、て、これ後何枚続くんだ・・・?」

兄に対する甘さには相当な定評のある寿也だが、弟に対する甘さも兄弟の枠を越えそうな勢いがある。

「まぁ、これは候補だから1/3位に絞らなきゃね」
「三分のい・・・ち、って」
それだって相当な数になりそうなのだ。第一、そんな金はどっから出てくるんだよ?と思わず聞けば、先程より一段と綺麗な笑顔が返ってくる。

「兄さんはそんな事心配しなくて良いんだよ。これ位のお金はどうとでもなるから」
出資金のネタはばっちりだからね。と呟く横顔を見て、なんとはなく今回の犠牲者が判った気がする。

(おやじ・・・、今度は何をやらかしたんだよ・・・。寿のやつ本気だぜ・・・)

だが本当の試練は、これから訪れる事を吾郎は知らない。

(兄さんのプレゼントの用意は、もうばっちりだからね。後はお返しに何を貰うかって事だけれども・・・、まぁ、父さんも母さんもホテルに一泊だし。健は隣の薬師寺さんの家に泊まらせればいいか・・・)


クリスマスまで、あと少し!!